50年前のお雛様
今年もまたひな祭りの季節が来た。孫のりらちゃんから
雛人形を飾ったのであられや菱餅等お菓子を買ってきてと電話が入った。
この雛人形は私の母→私→娘→孫のりらちゃんへと思いの篭ったものである。
太平洋戦争が始まる頃姉と私は生を受けた。
若い父と母は二人の娘に雛人形を飾って喜ばせたいと願ったということだ。
が何も無い時代思いを残しながら父は出征。
シベリアに抑留されて、そのまま帰らぬ人となった。
その後残された母は私と姉を育て上げ私の20歳の春
父との約束のように雛人形の七段飾りを買ってくれた。
私の嫁入り道具の一つになった雛人形はその後娘に引き継がれ
娘が嫁ぎ、孫のりらちゃんが生まれると同時に娘宅に引越しした。
50年の歳月を経た雛人形であるが毎年この季節になると私と亡き母の思いを引き継ぐように娘と孫のりらちゃんが飾ってくれる。
りらちゃんは右大臣左大臣のひげがとれたり、5人囃のお道具も
なんだか揃っていないんだけれどと言いながらとっても嬉しそうに
おやつを備えている。
娘は出すときも大変だけれど片付けるのも又大変
ケース入りの雛飾りであったら助かるのにと言いながらも
私の思いを受け止めてくれているようだ。
昔のものなので段はスチールで台は木。
女の手では七段を作るのは大変なのだが
りらちゃんのパパとオニイチャンが引き受けてくれるということで
今年もまた思い出深い雛人形に合えたことがとっても嬉しい。